もぐらと星の物語 -2ページ目

キス・・・

 「ねぇ~  

  虫歯の治ったおんなのこに キスしたいと 思わない?」

  

  

  

きみが 歯医者に通っていたのは 知っているよ

時間に ルーズなきみが よく 欠かさずに 行っているな と思ってた

それも 昨日で 終わったんだね

  

頑張ったのは きみ なのに

僕にまで こんな ご褒美 をくれるなんて

きみは ふたりの時間を楽しむ " 天才 " かも知れない

  

  

でも 

そんなに笑っていたら キス できないよ

きみは いつも そう

しっかり 目を つむっていたのは 最初だけ

  

抱き寄せて 額に キスをする

目を閉じるために まぶたにも

  

くちびるに 触れる 直前

きみは やっぱり 目を開けて 笑うんだね

  

  

ディズニーランド

きみと行った 想い出の ディズニーランド

お嬢様の きみが 僕と一緒に行ってくれるなんて

思ってもいなかったので とっても 嬉しかった

  

シンデレラ城の中で 

月の形の銀の イヤリングを 片方だけ 買ったね

どうして 片方だけ だったんだろう

僕は 勝手に ” 今度来たときに もうひとつ 買おうね ” という言葉を 用意していたけれど

  

いつくかの 乗り物で

普段 あまり笑わない きみも 嬉しそう


そうして 向かった先は ホーンテッド・マンション

コオモリのカチューシャをした アトラクションキャストのお姉さんを見て

” やっぱり こうゆう 妖しげな 雰囲気の人が ここのキャストをしているんだよね ”

と 笑う

  

ホーンテッド・マンション  999の幽霊の館

うす暗い中 幽霊たちの合間を縫って 二人掛けの椅子が走る

  

突然 椅子が スピードを落とし 止まる

故障かな? でも 照明は そのままだ

幽霊たちは 怪しげに 揺れている・・・

  



” 幽霊に 連れて いかれちゃう! ”

  


きみが 叫ぶように 泣き出す

  

” えっ?


うろたえる 僕

  


” 1000人目の幽霊に なるんだわぁ ”

  


ふるえる きみ

次の瞬間 僕は 初めて きみの手 に触れる


” 大丈夫だよ! なんだか わからないけど・・・ ”



1分か2分 止まっていただろうか

何事もなかったように 動き出した

でも 手をつないだまま

きみに さっきまでの 笑顔はない

いつもの 深刻に物事を 考えている顔がある

  

乗り物を降り 外に出る

陽の光を浴び ようやく 口を開く


” ごめんなさい 

 車椅子の人が 乗り降りする時に 止まるのは 知っていたんだけど

 ずいぶん 長かったから

 本当に 幽霊が 迎えにきたような 気がして・・・ ”

 

膝をついて 見上げる僕に

きみは 泣きながら 無理して 笑顔をつくって そう 言った

手は つないだまま

  

そんな きみを

” 幽霊 ” ではなく  ” 僕が ” さらって しまいたい

きみが いつも 笑顔でいられる そんな 場所へ

  

  

  

  

  

信じてもらえない と思うけど

これは 実話 である

前出の 映画をいっしょに見た お嬢様  である

彼女は その時 もう 大学3年 だったか・・・

門前仲町の お嬢様 だった

すぐに 泣き出す 感受性の鋭い娘 なのは わかっていたけれど

ここまで 純粋な娘 だとは 思わなかった  とても優しい娘だった

  

なんてったって 一番驚いたのは この僕 なのですから・・・  

 



  


  


影絵

渋滞の中 

疲れている僕を気遣って きみが おしゃべりになる

でも うまく返事ができない僕

  

結構 遠くまで きちゃったものね

  

遊び疲れて 眠ってしまったのを 申し訳なさそうに

きみが 言葉を つづける

それも 停まっている時間の長さに 静かになる

  

前には 大きなトラックの壁

後ろの トラックは ライトを消さない

  

突然 

きみが 手を 動かした

「これが うさぎ・・・」

「ぴょん ぴょん    ほら 肩の上に 乗るよ」

「今度は きつね・・・          あなたも なにか 作って・・・」

  


前のトラックに写る影  

僕を 退屈させないように こんなことを思いつく きみに 驚き

影絵をする きみを 愛しく 感じる

  

「じゃあ これは わしだ!

うさぎちゃんを 捕まえに ゆくよっ 」

手のひらを はばたかせ ゆっくり 助手席に " うさぎ "  を 追い詰める

逃げる うさぎ を 追いかけて

僕は きみの 頬に キスをする

  

「ばかぁ~ うしろから 見えちゃうじゃない・・・」

  

でも きみの 思惑どおり

僕の 意識は はっきりと 冴えた

  

  

今度 夜の倉庫街で

ふたりだけの 影絵をしよう

車のライトを照らして 大きな影を つくろう

手をつないだり

走ったり

キス したり

 

動物の 影 なんか つくらない

  

ふたりの 恋人と 影を いっぱい つくろうね

ひまわりの迷路で

ひまわりの迷路で はぐれてしまった ふたり

 

好奇心旺盛なきみは いつも 僕を ひっぱっていってくれる

少しぐらいの 虫や蜂なんかは 気にしない

パズルや迷路が得意なきみは どんどん 先を歩いて行く

 

ちいさい子や ひまわりの細かいとげを気にして 歩みの遅い僕

たちまち きみを 見失う

 

大きな声で 呼んでくれればいいのに

負けず嫌いのきみは 先に僕を見つけようと 必死に歩く

 

僕は僕で 次の角を曲がったら 

不安げな顔の きみがいそうで 右に左に 体を揺らす

 

どちらかが 立ち止まれば 出会えるかもしれない

でも もしかして きみは 僕 ではなく 出口を探しているの?

それとも・・・

 

 

 

 ” どこかで 泣いているのかな? ”



すまして みんな同じ方を向いている ひまわりを見上げる

 

 ” これでは 迷路じゃなくて 迷子 だよね ”

 

背の高い ひまわりは

そんな ふたりを見て 静かに 笑っていたんだろうな


 



 

「りんごは赤じゃない  ~正しいプライドの育て方~」

りんごは赤じゃない

 

                 新潮社文庫  新刊  山本美芽 著  476円 (税別)

 

 

著者の 山本美芽 さんの サイン本が 自宅に居ながらにして 手に入ります!!!

 

詳しくは 美芽さんのブログ  で・・・ 

   

 

 

ある美術科のカリスマ教師の実話である。

 

この教師の 授業に対する 生徒に対する 真摯な姿勢。

生徒を一人前の大人として扱い 自ら 考えさせ 行動させる力を付けるために

さまざまな事を 実行する。 「心を育てる」授業をする。

 

自ら 決定し 調査し 感じとり 作品を作り上げてゆく。

その 一連の体験を 自信を持たせながら やり遂げさせる。

それは 実社会の様様な問題解決方の まさに そのものではないか? 

テストの点数が良い のと 頭が良い のは まったく違うのだ。

社会に出てから 本当に必要なものは 後者で しかも 雲泥の差になりやすい。

こんな僕の 拙い要約では まったく参考にならない。

とにかく 読んでもらいたい。 必ず なにか 感ずるものがあると思う。

 

この教師の考え方は 子育てにも 相通ずるものがあると思う。

ぜひ これから子供を育てる方 そして 今 真っ最中の方に 読んで欲しい。

 

僕は ある人にこの本を贈る予定ですが

子供を産むまでに 1回。

その子が 小学校に上がるまでに もう1回。

さらに 中学校になるまでに もう1回 読め! と言うつもりである。 ( いい迷惑かも知れないが・・・ )

あっ お嫁さんだった人にも 送りつけてやろう!!

 

 

P.S.

先日 著者の 山本 美芽さんから じきじきに トラックバックが入ってしまった。

お馬鹿な僕は 本人とは知らずに 生意気にも そのブログに コメントまで してしまった・・・

 

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山本 美芽 さんの ブログ です。