ディズニーランド | もぐらと星の物語

ディズニーランド

きみと行った 想い出の ディズニーランド

お嬢様の きみが 僕と一緒に行ってくれるなんて

思ってもいなかったので とっても 嬉しかった

  

シンデレラ城の中で 

月の形の銀の イヤリングを 片方だけ 買ったね

どうして 片方だけ だったんだろう

僕は 勝手に ” 今度来たときに もうひとつ 買おうね ” という言葉を 用意していたけれど

  

いつくかの 乗り物で

普段 あまり笑わない きみも 嬉しそう


そうして 向かった先は ホーンテッド・マンション

コオモリのカチューシャをした アトラクションキャストのお姉さんを見て

” やっぱり こうゆう 妖しげな 雰囲気の人が ここのキャストをしているんだよね ”

と 笑う

  

ホーンテッド・マンション  999の幽霊の館

うす暗い中 幽霊たちの合間を縫って 二人掛けの椅子が走る

  

突然 椅子が スピードを落とし 止まる

故障かな? でも 照明は そのままだ

幽霊たちは 怪しげに 揺れている・・・

  



” 幽霊に 連れて いかれちゃう! ”

  


きみが 叫ぶように 泣き出す

  

” えっ?


うろたえる 僕

  


” 1000人目の幽霊に なるんだわぁ ”

  


ふるえる きみ

次の瞬間 僕は 初めて きみの手 に触れる


” 大丈夫だよ! なんだか わからないけど・・・ ”



1分か2分 止まっていただろうか

何事もなかったように 動き出した

でも 手をつないだまま

きみに さっきまでの 笑顔はない

いつもの 深刻に物事を 考えている顔がある

  

乗り物を降り 外に出る

陽の光を浴び ようやく 口を開く


” ごめんなさい 

 車椅子の人が 乗り降りする時に 止まるのは 知っていたんだけど

 ずいぶん 長かったから

 本当に 幽霊が 迎えにきたような 気がして・・・ ”

 

膝をついて 見上げる僕に

きみは 泣きながら 無理して 笑顔をつくって そう 言った

手は つないだまま

  

そんな きみを

” 幽霊 ” ではなく  ” 僕が ” さらって しまいたい

きみが いつも 笑顔でいられる そんな 場所へ

  

  

  

  

  

信じてもらえない と思うけど

これは 実話 である

前出の 映画をいっしょに見た お嬢様  である

彼女は その時 もう 大学3年 だったか・・・

門前仲町の お嬢様 だった

すぐに 泣き出す 感受性の鋭い娘 なのは わかっていたけれど

ここまで 純粋な娘 だとは 思わなかった  とても優しい娘だった

  

なんてったって 一番驚いたのは この僕 なのですから・・・