もぐらと星の物語 -18ページ目

長女・澄玲(すみれ)ちゃんのお誕生日

 6月4日は澄玲ちゃんのお誕生日。

「お父さんが一緒に行くなら、サンリオピューロランドに行きたい!」

という一言に 4~5ケ月ぶりに元家族、6人全員で出かける。

  

施設の中で お誕生日のお祝いをしてもらうために 名札に名前を書いた。

「なんで その苗字なの?」 と お嫁さんだった人。

「えっ、いつ苗字変わったの?」 と 僕。

「まだ正式に変わってはいないけど 保育園ではもうその苗字じゃないから・・・」

「・・・」

  

それでも 澄玲は 他の6月生まれの子達と一緒に

同じ6月生まれの ”キティーちゃんのパパ” にお祝いしてもらっている。

 

ボートに乗ったり ミュージカルを見たり アイスクリームを食べたり

他の家族に混じって 楽しい時を過ごす。

恒例の ” 徹哉くんの迷子事件 ”(三番目・三歳) も発生し 以前とまったく変わりない。

おみやげを買って 引っ越したばかりの彼女らの新居にたどり着く。

 

小さなケーキを食べている時 澄玲が言う。

「けんちゃん 今日 帰っちゃうの?」

「み~ちゃんが 眠るまで いるよ」

言葉どおり 澄玲を腕枕して布団に入る。

「今日は 楽しかったね」

「また 行こうね」

「今度のお誕生日?」

「ううん もっと早くてもいいよ」

「じゃあ 来週?」

「来週は 早すぎるな」

「そっか・・・」

ゆっくり 眼を閉じてゆく。

長いまつげ  その顔を見ていると 吸い込まれそうになる。

いつまでも 見つめていたい と思う。

 

澄玲や他の子達が寝たのを確認して お嫁さんだった人が 抱きついてくる。

「寂しいぉ~ つらいよぉ~」

「でも こう決めたのは あなたじゃないか」

「あたしは けんちゃんに帰ってきて欲しい」

「お互い信用できないのに?」

「・・・」

 

いつもここで終わる。

去年からの命題

” お互いを信じない縁は悪縁である。 ”           ~  田口ランディ  「縁切り神社」  ~

 

悪縁は切れるのか  このままか  それとも 新しい縁と結ぶのか

子供たちは・・・

 

僕は まだまだ お嫁さんだった人を 信じることができない

 


 

  



 

 



  

  

  

好き の 基準?

ずっと ある人の笑顔が 頭から離れない。

  

中学一年のとき 吹奏楽部のふたつ上の 玲子先輩。

僕は一年の三学期から他の学校に移ったので 実際 半年も一緒に部活動をしていない。

僕はクラリネット 玲子先輩はオーボエを吹いていたので いつも 近くで練習していた。

しかし 覚えているのは 1シーンだけ

  

小柄でコロンとした 玲子先輩が 背中を丸めて 椅子に座っている。

丸顔で たぬき顔で 色白で そばかすがあり 

優しく はにかむように 笑っている。

  

ただそれだけ

 

でも この玲子先輩に 

僕は おそらく 母性を 見出したのだろう。

” 好き ” という感情ではなく ” 惹かれる ” に近いと思う。

 

僕の好みは 玲子先輩が 基準だと思う。

みんなどこかしら 似ている。

稀に きつね顔の人も いたが・・・ 

バイバイ 

バイバイ           鷺沢萠 著   

   

                 角川文庫  400円(税別) 


 去年の暮れから つまり お嫁さんだった人に 家を追い出されてから

たくさんの本を 読んでいる。

学生時代よりも ハイペースだろう。

その中で お気に入り なのが 鷺沢萠さん。

去年 亡くなられたそうなのだが どうして このような すばらしい作家さんが

30代で死んでしまうのか とっても不思議だ。

大昔 もし 作家になったら 30までに 大作を書いて 

30代で 死んでもいい!!

と 思っていたのだが 作家になる器でもなく 30代で 死にたい! という 願望もない。

あたりまえだ!

もう 40歳なのだから・・・

  

鷺沢萠さんの作品には 強烈なメッセージを発しているものが多い。

エッセイと麻雀日記は除く・・・

  

” バイバイ ” は 初め ごく 普通の恋愛物?かと思わせたが

そうではなかった。

結果的に嘘つきで 3人の女性と付き合う主人公と、

最後にその男を信じることに決めた女性のお話。

  

僕の中で この言葉は 一生付いて廻るのではないか?

と思うほどのセリフにブチ当たってしまった。

  

  

  

    主人公の祖父の言葉

  

    人間なんて信じるもんでねえぞ

    (南部鉄の灰皿を) お前はこれを、食えると思うか?

    んだ。食えるもんでねえ。ふつうなら誰もがそう考える。・・・・

  

  

  

  

ふつうなら・・・

ふつうなら・・・

  

ふつうなら 食べられない  つまり ふつうなら 信じられない というのだ

信じる というのは それほどの 行為なのだ

でも 

” 食べる ”  ときは 必ず 来る       きっと

そして そのときは 望んで  ” 食べたい! ” と思って食べよう。

” ふつう ” ではないことをしているのだから

人を信じて 自分が 壊れそうになっても 

喜んで 壊れてしまおう

そう 思える ようで ありたい。

  

    嘘つきの主人公を信じることに決めた女の子が言う

  

    「バカかな?あたし」

  

  

  

  

  

  

P.S.

    解説の 島村洋子さんが 追い討ちをかけるように こう 言っている。

    

    「愛」というのは、それを手放す勇気を持つほどに愛することではないのか

    それとも

    相手を「愛」で窒息死させるほど恋い慕うことなのだろうか。

  

  

僕は いままで 後者の「愛」しか 持っていなかった   

  

  

  

      

あなたとならば

 志麻ちゃんからの電話は 「この曲のタイトルは、なんですか?」

というものだった。

また 例のごとく 例のように とってもいい歌でした。

  

  

       あなたとならば

   

                                 歌  O’s (オズ)

  

あなたとならば 前を向いて歩ける

涙がでても すぐにかわくわ

あなたとならば たとえ世界の果ての

凍りついた荒野にでも わたしはゆける

  街の店コーヒーを 飲んでるだけで

  二人の愛は 育ってゆくの

あなたとならば 明日を信じてゆける

今日という日が 灰色だって

めぐり会うこと はるか遠いところで

二人のため決められてた そんな気がする

  

あなたとならば 歌を唄ってゆける

悲しいことも 耐えられるでしょう

あなたとならば 生きる悩みを抱いて

生きてゆける二人の道 歩いてゆける

  街はずれ星空を ながめていたら

  流れ星ふたつ 流れていった

あなたとならば 今はかすんだ未来

恐くはないわ 進んでゆける

めぐり会うこと はるか遠いところで

二人のため決められてた そんな気がする

  

  今日はもうあの空の 向こうに消えた

  新しい時を 二人して待ちましょう

あなたとならば 夜が淋しい時も

わたしは待てる 朝焼けの時

めぐり会うこと はるか遠いところで

二人のため決められてた そんな気がする

  

眠る前に祈りたいの あなたのこと

やさしい夢を見て おやすみなさい

  

  

  


なんていい歌詞なのでしょう

  

”めぐり会うこと はるか遠いところで

二人のため決められてた そんな気がする”

 

やっぱり 勘違い してしまいそう・・・

でも 僕は いつも 志麻ちゃんのこと 祈ってますけどね

”なにごとも ありませんように

 これ以上 つらい思いをしませんように”  ってね

  

  

余談なのですが 

これを唄っている O’s というのは 姉妹デュオで とっても澄んだ優しい声をしています

そして

出身が なんと 長崎県の五島列島!!

志麻ちゃんの本籍地と一緒なのです・・・(生まれは埼玉らしいのですが)

「もしかして 知り合い?」

と 聞いてみたけど 両親に聞かないとわからない とのこと・・・

「でも なんか 感じるものがあったのかなぁ~」 だって・・・

  

僕は一生懸命 この歌の はもり のパートを覚えています

たぶん ないと 思うけど

万が一 カラオケで 志麻ちゃんが この曲を歌うことがあったら

一緒に歌えたらいいな と思って・・・                 まず ないけど・・・

  

  

  


  



道しるべ

去年の冬 きみに贈ったCDの曲に こんな歌詞があったね

  

” ずっと ずっと そばにいて 同じ夢さがす 旅をしたい ”

  

ひとつの星を みつめて ふたりで 同じ目標に向かって歩いてゆく

ずっと そう 信じていた

黙っていても ちゃんと お互いのことを考え

ふたりのために 歩いていた はずなのに

気がつくと はぐれてしまったんだね

  

 

僕が 大好きな 札幌の街

明治の初めに 何もない 原野に街を作った

京都をお手本にして 碁盤の目のような 縦・横 まっすぐな道

でもね

一ヶ所だけ 間違いをした

西と東から 道を作り始めたんだけど

西からは 北極星を頼りに作り

東からは 方位磁石を見て作った

結果 どうなったと 思います?

  

やっぱり 少し ずれてしまったんですよね 道が・・・

 

  

道路は 曲げれば なんとかなるけど

ふたりが すれ違ってしまったら

もう 二度と会えない  そして わかり合えない

  

お願い!

同じ星を 見つめていて

できれば 手をつないで・・・