お願い 無事に帰って来て
このところ
仕事の量が増えている。
僕の会社の人間が
体調が悪かったり
研修に行ったりと抜けてしまったので
志麻ちゃんの会社にも
かなり負担をかけている。
志麻ちゃんも
他の男の人と同じに普段の1.5倍くらいの仕事をこなす。
ただ 今
志麻ちゃんのお父さんが
頭の病気で自宅療養しているので
志麻ちゃんは 介護でなかなか寝る時間が少ないのだ。
寝不足での運転は かなり危険だ。
まして 時間に追われるとなるとなおさらだ。
僕は 心配で心配で たまらないのだが
志麻ちゃんは
他のみんなが頑張っているのに
家族のことを理由に 自分だけ楽をすることはしない。
ただでさえ
男の人と同じ仕事をして 同じ給料を貰っているのだ。
それが あたりまえだと思っている。
でも、僕は 志麻ちゃんと長話が出来たら
たぶんこう言うだろう。
「 志麻ちゃんの頑張る所は、そこじゃないよ
その仕事は他の誰でも出来ること。
でもね、
周りの人に志麻ちゃんが思っている優しい考えを伝えるとか
旦那さんから貰う愛情を 倍にして優しさを振り撒くとか
お父さん・お母さんから貰った たくさんの愛情を返すとか
志麻ちゃんがそうされた様に
目いっぱいの愛情をかけて、志麻ちゃんが産んだ子供を育てるとか
志麻ちゃんでしか出来ないことに対して
頑張ってほしいな。
だから
仕事では 無理をしないで。
少しだけ 頑張ってもいいけど
無理はしないで。」
僕は その雨の夜
志麻ちゃんが 心配で心配で
ほとんど眠ることが出来なかった。
「 志麻ちゃん お願い!
無事に帰って来て!
神様
この 心優しい人を
まだまだ 生かしておいてください。 」
と 胸が苦しい中 祈り続けていた。