手に・・・ | もぐらと星の物語

手に・・・

きみの手に 最初に触れたのは

けっして 忘れはしないだろう そう あのライブ

 

『 この手を 離さないで~ ・・・』

 

という 始まりの歌 の直前



 

手をつないだ瞬間 不思議な感覚に襲われた

きみの右手を 下から掴む

でも おかしいかな? と思い 上から握る

ところが 僕の手は きみの手にやわらかく包まれてしまった

 

「この曲の時は 手をつなぐことになっていますから・・・」

 

と お願いしていた事もあって 

僕は 包みこまれた手が 急に恥かしくなり また 下から手を組み直す

僕の4本の指が きみに掴まれているようだった

 

でも 曲が終わり 拍手をした時に 離れた僕の手を

きみから求めることは なかった

 

次に 僕がきみの手を捕まえたのは ライブが終わってから

 

僕に お金を払おうと バッグの中を探るきみの手を

ちょっと 強引に押しとどめ そして 握ってしまった

今度は しっかり 上からつなぐ

でも 僕よりも 15cmも背が低い きみの手は 肉厚で

やさしく しっかりと 僕の手を包む

 

不思議な というのは 最初だけだったけれども

安心感が 僕の手から 心の中に広がる

少しふらふらしている僕を諭すように しっかりと支えている

お互いの手が 吸い付くような ぴったりとすきまもない程だ

ずっと ずっと 手をつないでいても 不自然じゃない そういう感覚


 

僕は 手をつなぐだけで

なにか とても大切なものを 手に入れた気がした