考え方が こんなにも違うものか? | もぐらと星の物語

考え方が こんなにも違うものか?

去年の10月 僕の両親の金婚式のお祝いをした。

3人の子供とその伴侶、そして孫達・・・  計 18名。

札幌から 姉貴の家族も飛んできて、日本橋のとある料亭でとりおこなう事となった。

僕とは違って 超エリートの兄の発案である。

 

ところが・・・

 

その予定を あの人 (僕のお嫁さんだった人) に話すと

 

  「私は 行きません。 私はそんなところへ着てゆく服がないので

   あなたと 子供達だけで 行ってきて下さい。

   うちに そんなお金 ないですから・・・                」

 

運転中だった僕は あやうく 次の動作を忘れるところだった。

僕は あの人の頭の中を 理解できないでいる。

確かに その1月前 あの人は 実父を亡くして 落胆していたのは わかっている。

あの人の母親は 小学生の時に 死んでいる。

羨ましい という気持ちは わからなくもない。

しかし それと 金婚式に行く行かないは まったく別の話だ。

お金の問題だと言う。

僕は 冠婚葬祭 義理ごとには 借金してでも駆けつけるものだと思っていた。

まして 金婚式 である。 誰にでも 出来るものではないのだ。

 

お金のある・ない の問題ではない。 考え方の違いだ。

姉貴の家族は 6人全員 札幌から飛行機で飛んでくるのだ。

 

あの人は 実父を亡くして 落ち込んでいたのでは ないのではないか?

実父の年金が 入らなくなったので 困ったのではないか?

それは 僕に内緒の借金があるからか?

無理して あの人の希望で 子供たち3人を スイミングスクールへ行かせている為か?

 

このあと 僕が家計簿をつけ始めたが 使途不明金が多く まともな 家計簿にはならなかった。

 




 

それから 二ヶ月して あの人の 兄の娘が九州で死んだ。

まだ 21歳で 白血病だった。

前の月に その娘の姉から移植手術をしていて ちょうど その朝に 僕はあの人に

「今回の移植がうまくいかなかったら 今度はあなたがドナーにならなきゃいけないんじゃないかな?」

と 話をした その日だった。

 

すぐに 仕事の段取りをさせ 上3人を実家に預け、夕方の飛行機のチケットを取り、

一番下(1歳)と一緒に 羽田に行かせる。

タイミング良く 僕のボーナスが出た日だった。

なんとか 深夜にあの人の兄の家にたどり着く。

当然だと 思っていた。

あの人の実父が亡くなった日に その兄は 連絡してから 約5時間という 信じられない速さで

佐賀から埼玉まで飛んできたのだ。

 

 

  

こっちに帰ってきて しばらく経って あの人に訊いた。

 


「あの日 もし ボーナスが出てなかったら どうしてた?」

 

「たぶん 九州へは 行かなかったでしょうね」 と言う。

 

 

 

” あぁ もう おしまいだな ”  と 思った。

 

 

「そうゆう時こそ 人からお金を借りてでも 行くんじゃないかな?」

 

 

僕は もう 声を荒げる気力もなかった・・・